第7回(2014年)トランスジャパンアルプスレース

トランスジャパンアルプスレース

トランスジャパンアルプスレース

第7回 トランスジャパンアルプスレース

開催期間: 2014年8月9日(土)~8月18日(月)
※台風11号直撃で制限時間が3時間延長された。
スタート: 2014年8月10日(日)0:00
ゴール: 2014年8月18(月)03:00(制限時間8日間と3時間)
関 門:  上高地CP 8月12日(火)11:00
 市野瀬CP 8月14日(木)15:00
 三伏峠CP 8月15日(金)20:00
 井川オートキャンプ場CP 8月17日(日)07:00
 太平洋/駿河湾・大浜海岸(ゴール) 8月18日(月)03:00
参加者: 28名
完走者: 18名


レース結果

順位 氏名 年齢 性別 ゴール 備考
望月 将悟 36 5日間12時間57分  
飴本 義一 48 6日間05時間06分  
船橋 智 35 6日間06時間54分  
坂田 啓一郎 34 6日間16時間47分  
石田 賢生 37 6日間16時間47分  
松浦 和弘 32 6日間21時間04分  
大西 靖之 45 6日間21時間04分  
朽見 太朗 32 7日間02時間36分  
大原 倫 34 7日間15時間18分  
10 紺野 裕一 39 7日間19時間20分  
11 西田 由香里 40 7日間22時間12分  
12 雨宮 宏樹 37 7日間23時間06分  
12 米田 英昭 33 7日間23時間06分  
14 佐幸 直也 33 8日間02時間04分  
15 柏木 寛之 34 8日間02時間32分  
仙波 憲人 35 DSF:富士見峠 身体のダメージ大きく進めない状態
田中 尚樹 39 DNF:井川オートキャンプ場 関門締切時刻に間に合わず失格
阿部 岳史 38 DNF:大日影山 <三伏峠と荒川岳の間>寒さに耐えかねて
江口 航平 32 DNF:三伏峠 幻覚現れるなど体力消耗
平井 小夜子 52 DNF:塩見岳 濃霧で行動難しくビバークするため
三伏峠の関門締切に間に合わず
山本 寛人 38 DNF:両俣小屋 低体温症の症状
中村 雅美 50 DNF:空木岳から池山尾根 故障
湯川 朋彦 47 DNF:沢渡 体調不良
千原 昇 49 DNF:三俣山荘 低体温症
飯島 浩 45 DNF:双六小屋 胃腸不良
岩崎 勉 47 DNF:西鎌尾根 上高地の関門締切に間に合わず
福山 智之 35 DNF:双六小屋 関門締切が延長されたことを知らない中で
関門まで行動時間が足りないと判断
笹岡 誠 40 DNF:雷鳥沢 腸脛靭帯の痛み
石川 晃 42 DNF:一ノ越 強風に加え腸脛靭帯に故障
町田 吉広 51 DNF:一ノ越 強風は危険と自ら判断


レース概要

台風11号直撃の中でのスタートで、
危険な剱岳を回避するルートへ大会初のコース変更が決定されました。
暴風雨と増水の影響で、多くの選手がビバークを余儀なくされ、
制限時間が3時間延長されました。
台風通過後も悪天候が続き、完走者50%という非常にハードなレースになりました。


<<0日目>>


今回で7回目となる2014年のトランスジャパンアルプスレース。
8月9日土曜日は台風11号が西日本の太平洋側に接近し、西日本各地では猛烈な風雨に見舞われていた。

深夜0時のスタートを前に富山県魚津市の早月川河口のミラージュランドで開会式が行われた。
その後大会実行委員会から、台風の接近を受けて序盤のコースを変更することが発表された。

スタート地点のミラージュランドから馬場島登山口、早月尾根を経由して劒岳山頂を通り、 立山の一ノ越に至る約44kmの区間が変更され、 ミラージュランドから上市方面を経て立山駅へ(ここまでロードが約38km)。
立山駅から材木坂ルートと呼ばれる急なトレイルで立山ケーブルの美女平駅へ。
ここから立山黒部アルペンルートの舗装路沿いのトレイルで天狗平、室堂を経て一ノ越へ。
変更後のスタートから一ノ越まではおよそ63kmとなり、テクニカルな劒岳を通る危険はないとはいえ、 距離は約20km増え、ランナーにとっては決して楽ではないコースへ変更された。


<<1日目>>


8月10日日曜日深夜0:00に富山県魚津市・早月川河口をスタート。
深夜0時のスタートから一夜明け、雨が一旦上がった午前9時に室堂に一番先に到着したのは望月将悟。
前回、前々回とこの大会で優勝している望月が先行。
次いで25分後に室堂を通過したのは、こちらもこのレースを上位で完走した経験を持つ阪田啓一郎、石田賢生、紺野裕一。
その後5番手、6番手に飴本義一、船橋智とこちらもこの大会で既に実力を証明済みのランナーが続く。

その後、大西靖之、松浦和弘、山本寛人と続いた後に10番目に室堂を通過したのは西田由香里。
UTMFで女子4位(2012年)、7位(2014年)、北丹沢2位(2013年)などの実力を持つ西田が強さをみせる。

室堂は西田が通過した午前10時10分頃には再び強い風雨に。
各ランナーは一ノ越からの北アルプスの稜線に備え、売店や食堂で準備を整える。
上位選手が稜線に上がった午後には台風接近で風雨はさらに強まる。

今夜は台風11号が日本海を北上し、明け方までは激しい雨が予想される。

スゴ乗越(75km)で15名のランナーがビバーク:
朽見太朗、江口航平、佐幸直也、米田英昭、柏木寛之、仙波憲人、雨宮浩樹、 阿部岳史、田中尚樹、西田由香里、飯島浩、千原昇、中村雅美、平井小夜子、湯川朋彦
薬師岳山荘(80km)で10名のランナーがビバーク:
松浦和弘、阪田啓一郎、大原倫、船橋智、望月将悟、石田賢生、山本寛人、紺野裕一、大西靖之、飴本義一

こうした悪天候のなか、強風は危険と判断した町田吉広、強風に加え腸脛靭帯を傷めた石川晃が一ノ越でリタイアとなった。


<<2日目>>


8月11日月曜日 徐々に天候が回復する中、上位選手は上高地を出てロードの区間に入った。
続くランナーも北アルプスを上高地に向けて進んでいる。
関門締切時刻が3時間延長されることが発表された。

初日に台風に見舞われた一日目の10日日曜日は午後から夜間にかけて台風の影響が強まることが見込まれた。
これを受けて、各ランナーとも夕暮れ前にビバークに入った。
先行する10人が薬師岳山荘付近(80km)、続いて15人がスゴ乗越付近(75km)、3人が室堂から近い雷鳥沢付近(62km)でビバークした。

一夜明けた北アルプスの稜線上は雨は上がったものの霧が濃く、風も強い状態。
薬師岳山荘の10人も午前5時に行動を開始。
一方、雷鳥沢でビバークしていた笹岡誠は前日から傷めていた腸脛靭帯の痛みがひかず早朝にリタイア。
一緒にビバークしていた岩崎勉、福山智之は午前3時50分には行動を開始しました。

こうした状況を受けて午前9時半頃、大会実行委員会はこの後の関門とフィニッシュの締切時刻を3時間繰り延べることを発表した。
これにより、最初の関門となる上高地の締切時刻は三日目となる12日火曜日の11:00となった。

天候が回復したとはいえ、午後になって西鎌尾根に入った上位選手には強風が吹き付ける。
槍ヶ岳山荘(105km)には望月将悟、阪田啓一郎、石田賢生、紺野裕一が4人が到着。
13:50に上高地へ向けて出発。ここで前回のトップ通過タイムから約11時間遅れ。

続いて、14:38に船橋智、飴本義一、14:40に松浦和弘が槍ヶ岳山荘に到着。
ややおいて15:27に大西靖之、15:38に山本寛人、16:36に大原倫が到着。
ここまでがトップ10となり、前夜に薬師岳山荘でビバークしたランナー。

スゴ乗越でビバークしていたランナーも、多くが黒部五郎小舎(95km)を休憩、補給後に16:09に出発。
朽見太朗、雨宮浩樹は18:00頃には槍ヶ岳山荘を通過。

また、上高地(124km)には18:30頃に望月将悟、阪田啓一郎、石田賢生、紺野裕一の4人が揃って到着。
4人が食堂の閉店前に食事に向かっている間に、船橋智、飴本義一も到着している。
船橋、飴本は4人よりも20分程先に上高地を出発した。

その後、木祖村に向かうロード区間にある奈川渡ダム(146km)には21:20に飴本義一がトップで通過、 46分後の22:06に船橋智が続く。望月、阪田、石田、紺野の4人は22:20に通過。

二日目までは長いビバークや霧もあり、レースとしては目立った展開はないまま上高地まで来ている。


<<3日目>>


12日火曜日。
上高地の関門締切を受けてランナーは北アルプスを下りて、中央アルプスに向かった。
トップの望月将悟など上位選手はこの日のうちに木曽駒ヶ岳など中央アルプスを踏破して駒ヶ根市内に入っている。
一方、体調不良などからリタイアするランナーも現れ、この三日目までに7人がリタイア、一人が関門締切に間に合わず失格。
低体温症でリタイアしたランナーは大事を取って明日以降、同じ選手仲間とともに下山する予定。

三日目に入り次第にランナーの間が広がる。
三日目の12日火曜日の上高地(124km)は夜明け前の深夜からランナーが次々とチェックポイントを通過した。
3時間延長されて午前11時となった上高地の関門締切時刻までの通過状況は次の通りとなった。


上高地CP
順位 氏名
1二日目18:24望月 将梧
1二日目18:24阪田 啓一郎
1二日目18:24石田 賢生
1二日目18:24紺野 裕一
5二日目18:40飴本 義一
5二日目18:40船橋 智
7二日目19:19松浦 和弘
8二日目20:53大西 靖之
9二日目21:18大原 倫
10三日目21:21山本 寛人
11三日目23:35雨宮 宏樹
12三日目03:23阿部 岳史
13三日目04:14西田 由香里
14三日目04:41朽見 太朗
15三日目05:18仙波 憲人
16三日目05:36米田 英昭
17三日目06:16佐幸 直也
18三日目06:20田中 尚樹
19三日目07:03柏木 寛之
19三日目07:03中村 雅美
21三日目08:40江口 航平
21三日目08:40平井 小夜子
23三日目10:30湯川 朋彦
DNF三俣山荘<108km>、低体温症千原 昇
DNF双六小屋<100km>、胃腸不良飯島 浩
DNF上高地の関門締切に間に合わず岩崎 勉
DNF双六小屋<100km>、関門締切が延長されたことを
知らない中で関門まで行動時間が足りないと判断
福山 智之
DNF雷鳥沢<62km>腸脛靭帯の痛み笹岡 誠
DNF一ノ越<65km>・強風に加え腸脛靭帯に故障石川 晃
DNF一ノ越<65km>・強風は危険と自ら判断町田 吉広


リタイアしたランナーのうち、千原昇は健康状態がやや厳しく、三俣山荘の診療所で応急手当を受けた後、 岩崎勉、飯島浩、福山智之が付き添って下山することとなった。
また、湯川朋彦は前夜から体調が優れない状態だったといい、上高地を出発後、沢渡でリタイアしている。


三日目のこの日も雨が降る中、上高地を出発したランナーの多くは車道でいっぱいの「恐怖のトンネル」を経て、奈川渡ダムのカフェで補給。
さらに木祖村藪原の”スーパーマーケットまると”でしっかり食事をしてからいよいよ中央アルプスへ。
木曽駒ヶ岳の登山口となる旧木曽駒高原スキー場でビバークして明日から中央アルプスに取りかかるランナーが多いようだ。

一方先行するランナーはこの三日目の火曜日から木曽駒ヶ岳に登り始める。
この三日目のうちに中央アルプスを抜けて駒ヶ根市の菅の台まで下りてきたのは、 望月将悟、阪田啓一郎、飴本義一、石田賢生の4人。
残るランナーは山中でピバークしている模様。
また4人のうち、望月将悟と阪田啓一郎は日付が変わって四日目となった深夜に市野瀬(243km)に到着し、仮眠をとっている。


<<4日目>>


13日水曜日で四日目。
大会が始まって初めての晴れの一日となり、ランナーは木曽駒ヶ岳など中央アルプスの稜線からの眺めを楽しみながらコースを進んだ。
上位選手は駒ヶ根市内を経由して、南アルプス・仙丈ヶ岳への登山口にある市野瀬でドロップバッグを受け取り、 家族や仲間のサポートを受けている。そしてトップの望月将悟は南アルプスを快走。

スタートから四日目となった13日水曜日は大半のランナーが中央アルプスに。
前夜は松浦和弘、大西靖之が寒さを避けるため一気に空木岳まで縦走、稜線から下りたところでビバーク。
朽見太朗、大西靖之、山本寛人は木曽駒ヶ岳山頂でビバークしたが寒さの中でなかなか寝付けなかった模様。
その他のランナーの多くは旧木曽駒高原スキー場の登山口近くでビバークした模様。

四日目の日が落ちる前に中央アルプス・空木岳から駒ヶ根市内に下りたランナーは同日中には、ドロップバッグが受け取れ、 家族や友人のサポートを受けることもできる市野瀬(244km)までたどり着くことができた。
四日目深夜の日付が変わる前には10人のランナーが既に市野瀬に到着している。

さらに上位の選手は南アルプスを進む。
トップの望月将悟は四日目の13日水曜日の3:01には市野瀬を出発。17:36には塩見岳(277km)、19:52に三伏峠小屋に到着。
仮眠後に23:05には出発し、五日目に入った14日木曜日の5:48には荒川小屋(295km)に到着してる。

スタートからのタイムでみると台風のため初日に長時間のビバークをすることとなったため、 上高地では前回大会より11時間ほど遅い到着であったが、三伏峠では5時間弱ほど前回大会より遅いだけ。
南アルプスに入って、独りで進む望月のペースは徐々に上がっているようにすら思える。

五日目に入った夜明け前に中村雅美が脚の痛みで市野瀬の関門締切には間に合わないと判断してリタイアした。
また三日目に低体温症でリタイアしていた千原昇も四日目のうちに岩崎勉、飯島浩、福山智之とともに新穂高温泉に下山した。


<<5日目>>


14日木曜日で五日目に入った。
この日までレースを続けている21人が小雨の降る南アルプスに入った。
そしてトップを走る望月将悟はすでにこの日の夕方には畑薙へと下り、 井川オートキャンプ場で仮眠のあと、静岡市の大浜海岸まで残る63kmを走り始めた。

五日目となる14日木曜日はコース唯一のドロップバッグが置け、サポートが受けられるチェックポイントである市野瀬(244km)が 15:00に関門締切時刻を迎えた。この時間までに21人が市野瀬を通過し、仙丈ヶ岳への登山口から南アルプスに足を踏み入れた。


市野瀬CP
順位出発時刻氏名
1四日目3:01望月 将梧
2四日目5:57阪田 啓一郎
3四日目8:06船橋 智
4四日目9:12飴本 義一
5四日目12:17石田 賢生
6四日目12:29紺野 裕一
7四日目17:01松浦 和弘
8四日目17:21大西 靖之
9五日目03:57大原 倫
10五日目04:06朽見 太朗
11五日目04:28山本 寛人
12五日目06:34西田 由香里
13五日目08:46雨宮 宏樹
14五日目08:59佐幸 直也
15五日目09:01田中 尚樹
16五日目10:31米田 英昭
16五日目10:31仙波 憲人
18五日目12:51柏木 寛之
19五日目14:56阿部 岳史
19五日目14:56江口 航平
21五日目14:58平井 小夜子
DNF空木岳から池山尾根、故障中村 雅美
DNF上高地出発後の沢渡、体調不良湯川 朋彦
DNF 千原 昇
DNF 飯島 浩
DNF 岩崎 勉
DNF 福山 智之
DNF 笹岡 誠
DNF 石川 晃
DNF 町田 吉広


コースは仙丈ヶ岳(257km、仙丈小屋)、熊ノ平小屋(270km)、塩見岳(277km)、塩見小屋、三伏峠(283km、三伏峠小屋)、 荒川岳前岳(294km)、荒川小屋、赤石岳(299km)、百間洞山の家、聖岳(309km)、聖平小屋、茶臼小屋、横窪沢小屋、 畑薙大吊橋とたどってロード区間に下りる。

トップの望月将悟は四日目の13日水曜日の3:01には市野瀬を出発し、同日19:52に三伏峠小屋に到着して仮眠。
23:05には出発してそのまま夜を徹して走り、五日目の夕方には畑薙大吊り橋まで到着した模様。
21:44には井川オートキャンプ場(残り63km)に到着し、ここでビバークして一時間程の仮眠のあと、 日付変わった六日目0:30には出発している。

続くのは阪田啓一郎で荒川小屋(295k)に望月の約5時間後の10:58に到着している。
3番手には飴本義一が13:30、4番に船橋智が15:35とそれぞれ2時間程の間隔。
船橋から6時間おいて5番に紺野裕一が21:36、そこから3時間おいて6番に石田賢生が六日目となる15日金曜日の0:14に到着。
ここまで18時間で6人が通過したことになる。


<<6日目>>


15日金曜日で六日目。
初日の台風で当初の415kmから20kmほど増えたコースで行われたレースを、望月将悟がとうとうフィニッシュ。
5日と12時間57分で大浜公園の砂浜で多くの地元の皆さんに迎えられて、三回連続の優勝を果たした。

続くランナーは多くがまだ南アルプスの山岳コースを進んでいるが、この日の夕方までに二人がリタイア。
六日目の深夜の時点で17人がコースを進んでいる。

六日目に入った15日金曜日、前夜の0:30には短い仮眠を終えて井川オートキャンプ場(残り69km)を出発した望月将悟はロード区間を着実に進む。
朝になって玉川、賤機、そして静岡市の市街地に入ると随所で地元の皆さんの熱い応援を受けながら前へ。
望月が勤務する消防署では職員の皆さんが総出で見送り。静岡市の中心に入ると望月の周囲の道路が渋滞するほどの熱狂ぶり。

静岡市の皆さんに見守られながら、望月将悟は大浜公園にフィニッシュ。
5日と12時間57分で3回目のトランスアルプスジャパンレースでの優勝を果たした (ちなみに望月の優勝タイムは2012年は5日間6時間24分、2010年は5日間5時間22分)。


69kmの下り基調のロード区間に12時間以上かけたことから、最終日は望月にとっても容易ではなかったことがうかがえる。
しかし南アルプスを進んでいる続くランナーの皆さんにとっても容易ではなかった。

この六日目も南アルプスの山中は濃い霧に包まれ、時おり雨や風が吹き付ける厳しい天候となった。
ハイカーとのコースタイムの比較でみて、どの選手も進むペースが落ちた印象。

六日目の20:00に関門締切時刻を迎えた三伏峠小屋(283k)には19人が時間内に到着。
締切に間に合わず失格となったのは平井小夜子。
塩見岳までたどり着きましたが日が落ちてから濃霧の中で行動するのは危険と判断した平井は、そこでビバークすることを選択した。
また、関門にぎりぎり間に合った江口航平は幻覚をみるなどしている疲労度合いと自らの体力の限界を見極めて三伏峠でリタイアを決断。

その他のランナーも多くがチェックポイントでスタッフに足の痛みや疲労を訴えるようになり、ペースが落ちている印象。
日付が変わって16日土曜日の七日目に入った時点で行動を続けているのは17人(既にフィニッシュした望月をあわせると18人)。

南アルプスのコースは仙丈ヶ岳(257km、仙丈小屋)、熊ノ平小屋(270km)、塩見岳(277km)、塩見小屋、三伏峠(283km、三伏峠小屋)、 荒川岳前岳(294km)、荒川小屋、赤石岳(299km)、百間洞山の家、聖岳(309km)、聖平小屋、茶臼小屋、横窪沢小屋、畑薙大吊橋。
ここからロード区間に入り、チェックポイントのある井川オートキャンプ場(残り69km)へ。
富士見峠から権現滝、玉川を経て玉機橋(残り22km)、新静岡IC(残り13km)、静岡駅(残り4.5km)を経てフィニッシュの大浜公園へ至ります。


三伏峠小屋   283km地点
順位 氏名
1四日目19:52着、23:05発望月 将梧
2五日目1:23着、4:23発阪田 啓一郎
3五日目6:51着、7:22発飴本 義一
4五日目9:34船橋 智
5五日目12:09紺野 裕一
6五日目15:45発石田 賢生
7五日目19:27着、六日目1:39発松浦 和弘
8五日目19:47着、六日目1:39発大西 靖之
9五日目22:47着、六日目1:39発朽見 太朗
10六日目9:29着、10:10発大原 倫
11六日目11:50佐幸 直也
12六日目11:57西田 由香里
13六日目12:25雨宮 宏樹
14六日目12:39田中 尚樹
15六日目15:02米田 英昭
16六日目15:07仙波 憲人
17六日目17:45柏木 寛之
18六日目19:42阿部 岳史
19六日目19:45江口 航平
DNF塩見岳、濃霧で行動難しくビバークするため
三伏峠の関門締切に間に合わず
平井 小夜子
DNF両俣小屋、低体温症の症状山本 寛人
DNF 中村 雅美
DNF 湯川 朋彦
DNF 千原 昇
DNF 飯島 浩
DNF 岩崎 勉
DNF 福山 智之
DNF 笹岡 誠
DNF 石川 晃
DNF 町田 吉広


荒川小屋  295km地点
順位 氏名
1五日目5:48望月 将梧
2五日目10:58阪田 啓一郎
3五日目13:30飴本 義一
4五日目15:35船橋 智
5五日目21:36紺野 裕一
6六日目0:14石田 賢生
7六日目8:48松浦 和弘
8六日目8:52大西 靖之
9六日目11:50朽見 太朗
10六日目17:09大原 倫
11六日目21:31西田 由香里
12六日目22:31雨宮 宏樹
13六日目22:35佐幸 直也
14七日目5:03発田中 尚樹
15七日目5:27着、7:08発米田 英昭
16七日目5:27着、7:08発仙波 憲人
17七日目7:08発柏木 寛之
DNF大日影山<三伏峠と荒川岳の間>、寒さに耐えかねて阿部 岳史
DNF三伏峠、幻覚現れるなど体力消耗江口 航平
DNF 平井 小夜子
DNF 山本 寛人
DNF 中村 雅美
DNF 湯川 朋彦
DNF 千原 昇
DNF 飯島 浩
DNF 岩崎 勉
DNF 福山 智之
DNF 笹岡 誠
DNF 石川 晃
DNF 町田 吉広


<<7日目>>


16日土曜日で七日目
前日に望月将悟がフィニッシュした大浜公園には、6人のランナーがこの日フィニッシュ。コース上に残る10人が最終日にフィニッシュを目指す。

六日目の望月将悟のフィニッシュに続き、七日目は6人がフィニッシュし、計7人のランナーが完走。

TJARの経験豊富なベテランの飴本義一、船橋智は苦しみながらも井川オートキャンプ場からのロード69kmを着実にすすんだ。 飴本 が6日5時間6分で2位、船橋が6日6時間54分で3位となり、朝の大浜海岸にフィニッシュした。

その後、ロードの途中、富士見峠で仮眠をとっていた阪田啓一郎は途中で石田賢生と並んで進み、 6日16時間47分で同時に4位でフィニッシュ。石田はこれが初めてのTJARでの完走となった。


夜に入ってからは松浦和弘と大西靖之が6日21時間4分で一緒にそれぞれ6位でフィニッシュ。

続いてフィニッシュ間近なのは朽見太朗。ロード区間に入ってからも快調に走っていたが、フィニッシュが近づくにつれてスピードは落ち気味に。 しかし17日0:30の時点ではフィニッシュまで残り10kmほどまで進んでおり、朝までにフィニッシュするかもしれない。

紺野裕一は足を傷めている模様で、ロードに入ってからは「一時間に3キロ」ほどのペースがやっととのこと。 諦めることなく進んでいるが、フィニッシュまではすこし時間がかかりそう。

すでに荒川小屋(295k)を通過しながらも、約45km先となる井川オートキャンプ場(残り69km)への到着の報が入っていないのは 西田由香里、雨宮浩樹、佐幸直也、田中尚樹、米田英昭、仙波憲人、柏木寛之。 米田、仙波、柏木は途中の聖岳での元気そうな姿が紹介されている。井川オートキャンプ場の締切は八日目の17日日曜日の午前7時。

一方、七日目の13:50に阿部岳史がリタイア。大日影山<三伏峠と荒川岳の間>であまりの寒さに耐えかねてビバークしたものの治まらず、 結局ここでリタイアして三伏峠まで戻って下山する模様。

コース上で行動を続けているのは10人(既にフィニッシュした望月など7人をあわせると17人)。


井川オートキャンプ場 残り69km
順位 氏名
1五日目21:44着、六日目0:30発望月 将梧
2六日目10:26着、10:58発飴本 義一
3六日目15:10着、15:29発阪田 啓一郎
4六日目15:26着、15:43発船橋 智
5七日目4:22発石田 賢生
6七日目7:28松浦 和弘
7七日目7:28大西 靖之
8七日目12:44、12:57発朽見 太朗
9七日目13:40着、13:50発紺野 裕一
10七日目22:21着、八日目0:05発大原 倫
11八日目3:46着、5:42発西田 由香里
12八日目3:55着、6:24発雨宮 宏樹
13八日目4:31着、6:33発佐幸 直也
14八日目5:53着、6:55発米田 英昭
15八日目5:53着、6:55発柏木 寛之
16八日目6:42着、6:57発仙波 憲人
DNF井川オートキャンプ場の関門締切時刻に間に合わず失格田中 尚樹
DNF 阿部 岳史
DNF 江口 航平
DNF 平井 小夜子
DNF 山本 寛人
DNF 中村 雅美
DNF 湯川 朋彦
DNF 千原 昇
DNF 飯島 浩
DNF 岩崎 勉
DNF 福山 智之
DNF 笹岡 誠
DNF 石川 晃
DNF 町田 吉広


<<8日目>>


最終日の17日日曜日

八日目となったこの日は、朝7時に井川オートキャンプ場(残り69km)の関門締切となり、各ランナーは残る長いロード区間を進む。
この日、9人の選手が静岡市・大浜海岸にフィニッシュ。
金曜日にトップでフィニッシュした望月将悟から数えて15人のランナーが2014年のトランスジャパンアルプスレースを完走した。

八日目は午前7時に井川オートキャンプ場(残り69km)の関門締切時刻を迎えた。 夜のうちに井川オートキャンプ場に到着していなかったランナーのうち、 西田由香里、雨宮浩樹、佐幸直也、米田英昭、仙波憲人、柏木寛之が夜明け前から朝にかけて次々に関門を通過する。 しかし、田中尚樹が締切時刻の午前7時に間に合わず、失格となった。

一方、フィニッシュ地点となる大浜海岸では、深夜の2:36に朽見太朗がフィニッシュ。 終盤のロード区間も快調に走っていた朽見はフィニッシュを目前にペースを落とす等しながらも、8位に入った。

15:18には9位で大原倫がフィニッシュ。明るい時間にフィニッシュした大原を仲間だけでなく多くの観客の皆さんが大浜海岸で出迎えた。

南アルプスの後半から足の故障でペースを大幅に落とした紺野裕一は、ロードでは苦悶の表情を浮かべながら歩くのがやっと。 しかし今回2位の飴本義一から声援を受けるなど、多くの仲間の励ましを受けて前に進むことを止めない。 10位で19:20にフィニッシュした。


しかし、この頃、井川を出てから歩みがめっきり遅くなり最後尾を進んでいた仙波憲人が富士見峠で無念のリタイアを申告した。

22:12には11位で西田由香里がフィニッシュ。選手仲間と支え合うことでフィニッシュできたという西田は今回大会でただ独りの女性完走者。 大会の歴史を通じても間瀬ちがや、星野緑に続いて3人目の女性完走者となった。

その西田と後半一緒に行動していた雨宮浩樹、米田英昭も23:06と23:14に相次いで大浜海岸に到着。 深夜にもかかわらず、多くの人が二人を迎えた。雨宮は12位、米田は13位。

そして、日付が変わって九日目の18日月曜日に入ってから14位で佐幸直也 が2:04に、15位に柏木寛之 が2:32にフィニッシュ。 関門締切時刻の午前3時までに15人のランナーが2014年のトランスジャパンアルプスレース/Trans Japan Alps Raceを完走した。


フィニッシュ(大浜海岸)
順位   氏名
1 5日12時間57分 望月 将梧
2 6日5時間6分 飴本 義一
3 6日6時間54分 船橋 智
4 6日16時間47分 阪田 啓一郎
4 6日16時間47分 石田 賢
6 6日21時間4分 松浦 和弘
6 6日21時間4分 大西 靖之
8 7日2時間36分 朽見 太朗
9 7日15時間18分 大原 倫
10 7日19時間20分 紺野 裕一
11 7日22時間12分 西田 由香里
12 7日23時間6分 雨宮 宏樹
13 7日23時間14分 米田 英昭
14 8日2時間4分 佐幸 直也
15 8日2時間32分 柏木 寛之
DNF 富士見峠、身体のダメージ大きく進めない状態 仙波 憲人
DNF   田中 尚樹
DNF   阿部 岳史
DNF   江口 航平
DNF   平井 小夜子
DNF   中村 雅美
DNF   湯川 朋彦
DNF   千原 昇
DNF   飯島 浩
DNF   岩崎 勉
DNF   福山 智之
DNF   笹岡 誠
DNF   石川 晃
DNF   町田 吉広


初日の台風11号による暴風雨から始まり、大会期間中は13日水曜日を除いては連日の雨。
初日の劒岳を回避したコースは距離では20キロ程度の延び、序盤に長いロードを走ったことのダメージを受けたランナーもいたようだ。
初日は薬師岳山荘やスゴ乗越などで集団でビバークすることとなった時には、 レースをするよりも安全に行動することをランナー全員が優先することにしたという。
結果として、30人の出場選手のうち、制限時間(当初よりも3時間延長された)以内にフィニッシュしたのは15人にとどまるハードなレースとなった。



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