口臭予防に必要なこと。
自分では気づきにくい、お口のニオイ。
「食後の歯磨きは大切」とよく言われています。
しかし、実は逆効果かも!?
口臭の原因となる上、虫歯の原因になる可能性もあるのです。
ニオイの心配を減らし、笑顔で会話を楽しめる、正しい口臭予防法とは?
①「口臭予防」に食後の歯磨きはNG!?唾液の流れをよくするオーラルケアとは?
②朝は要注意!「口臭」の原因は“菌”にあった!?
③これが正しい「口臭予防」!唾液の流れをよくする5 つのポイント
①「口臭予防」に食後の歯磨きはNG!?唾液の流れをよくするオーラルケアとは?
欧米人の約70%が「日本人の口臭は不快」。
観光などで日本を訪れた欧米人に聞くと、約70%が『日本人の口臭にがっかりした』と答えているそうです。
あいさつとしてキスやハグをする欧米人には、ほぼ口臭はないそうです。
そんな彼らにとって日本人の口臭は、とても不快なようです
清潔を心がける私たち日本人にとって、それはとても意外な事実!
周囲の人の口臭をそこまで不快に感じないだけに、信じられないような話です。
歯磨きなどで1日2回以上オーラルケアをする人は、実に約70%。
食後の歯磨きは、口臭予防のほか、口内の健康維持の常識となっています。
ほとんどの人が、食後の歯磨きで口臭を予防できていると思っているようですが、実は違うようです。
自分のニオイに気づきにくいのは、嗅覚に順化が起きているから。
嗅覚は同じ刺激を受け続けると、そのニオイを感じにくくなります。
例えば、香水をつけた瞬間、その香りを感じますが、時間が経つにつれて感じなくなります。
日本人の口臭は、日本人が気づきにくいものなのです。
そのオーラルケアが間違っている?
オーラルケアをしているはずなのに、自分では気づけない口臭があるということ。
正しく予防をするためにも、まずは口臭が発生する原因を知っておく必要があります。
口臭は、口のニオイと書きますが、口は胃や腸、鼻などとつながっているため、口や喉からのガスのほか、代謝の過程で、腸や肝臓などで発生したニオイなども排出されます。
例えば蓄膿症(ちくのうしょう)や、糖尿病、肝疾患が原因の口臭もあります。
それらを病的口臭と言います。また健康な人でも、妊娠時や月経時などホルモンに変調があった時、ニンニクやアルコールを摂った時などにも口臭があります。それらは生理的口臭と言います
口臭の原因は実にさまざまですが、多くの場合は生理的口臭です。
中でも“一般的な生理的口臭”に分けられるものは、誰にでもごく当たり前に起こるもので、必要以上に不安になることはないようです。
朝起きた時、お腹が空いた時、緊張した時、そしてちょっと疲れた時などに起こるのが一般的な生理的口臭です。
これは誰にでも起こりえます。ですが、簡単に防ぐ方法もあります。
起床時、空腹時、緊張時、疲労時になぜ、口臭が起きるのか?
それを理解することが、口臭予防にはとても重要なのです。
「オーラルケアを欠かさないのに、日本人にはなぜ口臭があるの?」
その答えは実に簡単です。
「オーラルケアの方法を間違えているから」なのです。
エチケットとして食後の歯磨きを続けているのだと思いますが、正しいケアではないのです。虫歯になってしまう可能性がありますから、食後すぐは、歯磨きではないケアをとり入れるべきなのです
長く習慣になっている食後の歯磨きをやめるのは勇気のいることですが、多くの人の口臭の原因が何なのかがわかれば、口臭を予防するために本当に必要なことが、わかってくるのです。
②朝は要注意!「口臭」の原因は“菌”にあった!?
ニオイの原因は、菌。歯垢は、菌の塊。
食後に歯を磨くのは何のためでしょうか? 食べかすや汚れを取り除くため、と考えている人が多いようです。もちろん、食べかすは取り除かねばなりませんが、食べかすそのものが口臭の元ではありません。
ニオイの原因は、菌です。
起床時に口臭があるのは、一日の中でもっとも菌が繁殖しているからなのです。
便10gに含まれる菌以上の数が、起床時の口内にあるそうです。
歯垢は目に見える菌。意外かもしれませんが、菌の塊なのです。
ですから、歯磨きをする最も重要なタイミングは朝。
飲食をする前、起きてすぐに行うべきなのです。
ニオイの原因となる菌を落とすことは、虫歯や歯周病を予防することにもなります。
風邪やインフルエンザの予防として、帰宅時に菌やウイルスを落とす意味で手を洗いますね。それと同様、起床時の口内の菌を洗い流すために、朝の歯磨きは最も重要です。
食後、口内に残った食べかすも、やがて腐敗し、菌が増殖します。
これもニオイの原因になりますから、取り除かなくてはなりません。
食べかすを取り除く方法は、“お口直し”です。
僧侶の食事や茶懐石でとり入れられているもので、食後に白湯などで口内をすすぎ、米粒ひとつまで残さず味わうという作法です。
これにならって、つまようじなどで歯の間にある食べかすを取り、お茶や水で頬の間、舌の上をきれいにしましょう。
文字通り、口内を食事前の状態に直す(戻す)こと。これが、食後に行うべきオーラルケアなのです。
食後は、唾液のチカラで歯を修復する時間。
食後すぐ歯磨きをするのは、世界的に見て日本だけのようです。
なぜ、食後にすぐ歯磨きをしてはいけないのか?
その前に食後の口の中で、何が起こっているのか知る必要があります。
食事をすると消化のために唾液が分泌され、そこに含まれるアミラーゼという消化酵素が糖を分解します。
その消化活動の過程で酸が作られ、口内のpHが酸性に傾きます。
歯は酸にとても弱いため、そこで少し溶け始めるのですが、唾液が持つ口内を中性に戻そうとする働きによって、溶けた歯の表面が再び硬くなります。
この歯の修復を再石灰化といいます。
再石灰化は歯の健康のためにとても重要。
初期の虫歯であれば、これによって進行が抑制されるのです。
再石灰化が完了するまでにかかる時間は30分~3時間だとされています。
最低でも食後30分は歯磨きをしてはいけません。
すぐに歯磨きをしてしまうと、口内のpHを中性に戻して再石灰化のために働いてくれる唾液を洗い流してしまうからです。
修復のチャンスが失われるばかりか、酸性の状態が続くため歯が大きなダメージを受けてしまいます。
食後すぐの歯磨きは、虫歯になる可能性がある、ということ。
ニオイの原因になる菌は、食事中・食後すぐにはほとんどありません。
ニオイの強いものを食べない限り、口臭はほぼないのです。
歯の健康を守り、口臭を予防するための食後のケアは、やはりお口直しです。
口臭予防に最も大切なのは、唾液の流れです。
分泌して飲み込むという唾液の流れが、ニオイの原因になる菌の繁殖を防ぎ、虫歯や歯周病菌を防ぐこともになります。
お口の健康に、唾液の流れは欠かせません。
③これが正しい「口臭予防」!唾液の流れをよくする5つのポイント
うつむく姿勢も唾液の流れを止める!
朝起きた時、お腹が空いた時、緊張している時、疲労した時。
この時に起こる口臭には、共通して唾液の流れの悪さが原因に挙げられます。
口内には、腸内細菌同様に、さまざまな菌が存在しバランスをとっています。
菌は常に唾液の中に浮遊していて、ニオイは唾液を介して発生します。
唾液が流れていれば口臭はありませんが、流れが止まると菌のバランスがくずれ、ニオイの原因になる菌が増えるのです。
起床時に、菌が最も増えるのは、眠っている間に唾液の分泌が少なく、流れが滞るためなのです。
空腹時も唾液の分泌が少なくなります。
緊張時や疲労時は、ストレスを感じている状態です。
交感神経優位になることで唾液の分泌量が減ってしまいます。
唾液の量が減ると、口内が乾燥し、菌が繁殖します。そして唾液がねばねばしたものになっていきます。
唾液の流れが悪くなる原因は、現代人ならではの姿勢にも問題があるそうです。
スマホやパソコンを見ると、うつむくことになります。
そうなると、口内に傾斜ができるので、唾液を飲み込めなくなり、分泌する・飲み込むという流れが止まってしまいます。
ほかにも、本を読んだり、机で書き物をしたり、目線が水平より下になるような姿勢のときは、口臭が起こりやすくなるので、注意が必要なのです。
口内の殺菌のために、洗口液が使われますが、さらさらとした唾液の流れがあればそれだけで十分。
唾液が洗口液のような働きをしてくれるのだそうです。
唾液の流れをよくすること。
それだけで魔法のように、口臭がなくなるので。
口から始まる病気を防いでくれる唾液。
健康のために、あまり重要なイメージのない唾液ですが、口臭予防はもちろん、命を守るものとしても、とても大切なのです。
唾液は、血液と同様に大切なのです。
口は外の環境と直接つながっていますから、細菌やウイルスが侵入します。
それを殺菌し、体内への侵入を防いだりしているのです。
また、歯周病があると、心臓疾患やがんのリスクが高まることもわかっています。
唾液には、怖い病気の始まりと言える歯周病を防ぐ力もあるのです。
唾液の流れをよくする方法は、原料となる水を摂ること、きちんと朝食を摂ることなど簡単なものばかりです。
口から始まるトラブルや、大きな病気も予防してくれる大切な唾液。
未来もずっと笑顔でいられるよう、唾液の流れをよくする、正しいオーラルケアを続けましょう!
食後のお口直しに加えて、唾液の流れをよくする工夫を!
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【 ガムを口の中で転がしておく 】
唾液は、ふたつの反射によって促進されます。
ひとつは味覚反射。
酸っぱいもの、甘いものなどの味によって分泌されます。
もうひとつは異物反射。
口の中に異物があると分泌されます。
ガムはその両方の反射で唾液分泌を促進するので、食後のガムは口臭予防に有効。
シュガーレスで噛みごたえのあるものがよいでしょう。
また、ガムの味がなくなったら、丸めて口の中でころころさせておくと、異物反射によって唾液分泌が続きます。
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【 水分補給は、お茶より水を 】
十分な唾液を確保するために欠かせないのが水分補給。
摂るのは、やはり水がベストです。
お茶に含まれるポリフェノールには口臭抑制効果がありますが、飲み過ぎると逆効果。
唾液の分泌を抑制する作用もあるからです。
また、ジュースや牛乳は舌の上に残りやすいため、口臭の原因になります。
水は、食事中や喉が渇いたとき以外にも、こまめに摂るのがポイント。
特に、朝の歯磨き後、食事と食事の間に摂るのが重要です。
睡眠中や、食べたものを消化している間は体内が水分不足になるため、口臭が発生しやすくなります。
唾液の原料になる水を補いましょう。
point3
【 だし昆布を口に含んでおく 】
ガム同様、だし昆布を口に含んでおくと、異物反射によって唾液分泌が続きます。
だし昆布(加工されていない乾物)を1㎝×2㎝の大きさにカット。
角を残し、長方形にすることがポイントです。
異物として認識しやすく唾液分泌には最適なのです。
おやつ昆布でもOK。
昆布に含まれる葉緑素は、口臭抑制効果もあります。
ただし、ヨウ素を含みますから、甲状腺機能障害のある人には向きません。
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【 朝食を抜かない 】
朝食を抜くと、空腹による口臭も発生しやすく、噛む・飲むという作業が減ることから唾液が不足し、流れが悪くなります。
一日の始まりの食習慣を充実させることは、口の機能改善にとても重要。
さらに、朝食は和食がよりよいとです。
ご飯や焼き魚など噛みごたえのあるものが多く、唾液分泌効果が高いそうです。
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【 目線を上げる 】
スマホやパソコンを使うと、長時間下を向くことになり、唾液の流れが悪くなります。
うつむいた姿勢になる場面は、読書や勉強、料理や買い物などの生活の中に意外に多くあります。
長く目線が下を向いていると感じたら、45度上を向くようにしましょう。
そうすると嚥下(えんげ)反射が起き、唾液が流れ出します。
併せて、水を飲むとより効果的です。